アジア地域での中間所得層の増加や円安、震災からの復興などを背景に、近年訪日外国人数は激増。年間で2,000万人規模に拡大しており、震災の起こった2011年の600万人から急激に回復・増加してきています。
そんな中で近年、毎年のように話題となっているのが、お隣中国の旧正月である「春節」。
この時期には中国は長期休暇になるので、訪日中国人の数も増加し、その派手な買い物の姿がニュースやドキュメンタリー番組などでよく取り上げられています。
今回は毎年話題になる、中国の旧正月「春節」について基礎知識をまとめました。
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「春節」とは?
「春節」とは中国の旧正月

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中国をはじめ、台湾、ベトナムなどの中華圏では、新暦の正月よりも旧暦の正月(旧正月)の方を大々的にお祝いする文化があります。
「春節」とはその旧暦の正月のこと。
この期間は日本で言うところの正月休みと同様に大型連休があり、「春節」という言葉は、旧暦の元日(旧暦の1月1日)を指すこともあれば、この期間の大型連休を指すこともあります。
旧暦の正月は日本の正月(新暦の正月)からほぼ一ヶ月遅れの時期となり、旧暦の性質上、その日付は毎年変動します。
中国人が大移動する時期

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春節になると中国では、大型連休を利用した故郷への帰省者や海外への旅行者が大きく増加します。
例えば、地方出身で都市部へと出稼ぎしている労働者は実家に帰り、都市部の比較的裕福な層は海外旅行に出かけます。
中国の人口は13億人もいるわけですから、その人たちが一斉に休暇を取り、移動を始めれば公共交通機関は当然大混乱。
春節の時期に「交通機関がパニックになった」というニュースはよく目にするものです。
一方、旅行・観光業はもちろんのこと、小売業、百貨店・デパートなどの業種も大きな商戦となります。
なぜ毎年日付が違うのか?

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春節と呼ばれる旧暦の正月は、日本の元日(1月1日)のように毎年同じ日付ではありません。
春節の日付はなぜ毎年違うのか?不思議に思う人も多いと思いますが、これには旧暦の月の分け方が関係しています。
旧暦では月の満ち欠けをもとに1ヶ月を定めており、月の新月→満月→新月のサイクルからひと月分の日数が定められています。
これによるとひと月の日数は約29.5日にしかならず、1年間は「29.5×12ヶ月=354日」となります。
新暦の365日と比べると11日程度少ないことになり、新暦と比べると1年間が11日程度早く終わることになります。
旧暦ではこの少ない分を数年に一度「閏月」を設け、1年を13ヶ月とする年にすることで調整をします。
このような理由から、新暦に対し旧暦の方が「毎年11日程度早く1年が終わる」→「旧暦の祝日を新暦に直すと日にちがズレていく」ということが起こるのです。
春節の文化習慣
一家団欒・大掃除

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日本の正月と同じく、故郷へ帰省し家族で正月を過ごす人が多いようです。
また、日本と同じく、大晦日までの準備として大掃除を行う習慣があります。
対聯(ついれん)

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玄関や門に貼る、めでたい言葉が書かれた赤い紙。
新年を祝い、幸福を祈る言葉を書きます。
提灯と燈籠

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民家の玄関や町のいたるところ提灯や燈籠が飾り付けられます。
その色は「赤」や「金」ものがほとんど。特に「赤」は縁起が良く、魔除けの意味を持っています。
逆さま文字の「福」

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春節の飾り付けで目につくのが、逆さまになった「福」の文字。
これは「倒福」と言われ、同じ発音を持つ「倒(=倒れる)」と「到(=到着する)」を掛けてわざと「福」の文字を逆さにしているもの。
縁起が良い食べ物「餃子」

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中国の北部では大晦日の夕食に餃子を食べる習慣があります。
餃子には金運上昇や子孫繁栄、団欒など縁起が良い食べ物としての意味が込められています。
その他の縁起が良い食べ物

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他にも縁起が良い食べ物として、「魚」「団子」「もち」「春巻き」などがあります。
南部では湯圓(たんゆえん)と呼ばれる白玉団子の入ったスープを食べます。
爆竹・花火

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邪気を追い払うという意味で、春節では爆竹を鳴らす習慣があります。最近では鮮やかな打ち上げ花火が上がる地域も多いです。
一方、都市部では火災や事故の防止の目的から、爆竹・花火を禁止しているところも増えています。
おわりに
「春節」は中華圏の一大イベントであり、毎年億を超える人たちが故郷へ帰ったり、旅行へ出かけたりと移動します。中国、台湾、ベトナムなどの国へ、春節の期間中に旅行に行くようなことがあれば、交通機関が混雑することが予測されますので注意しておいた方が良さそうです。